報告書日本歯周病学会 第64回春期日本歯周病学会学術大会 報告書
日本歯周病学会 第64回春期日本歯周病学会学術大会
報告書(2021年5月21日〜6月22日 開催)
第64回春期歯周病学会学術大会は、新型コロナ感染状況を鑑みてweb開催となりました。
テーマは「今、求められる歯周治療〜研究から臨床へ〜」で、歯周病学に加え糖尿病、認知症など、近年注目されている内容が多くありました。その中から、拝聴した2講演の報告です。
「リグロス®の創薬から育薬への過程を再考する」ということで、市販後5年間での臨床的応用の実際、また近い未来への発展に向けた課題や将来展望について、各先生方で討論されました(村上伸也先生・小方頼昌先生・高井康博先生)。その中で、リグロス®を使用した歯周組織再生療法の実際について学び、インプラント治療における構造性術にリグロス®を使用した症例を伺いました。
もう一つでは、「令和の歯周病学は炎症消退を通して全身の健康に寄与する~糖尿病・認知症領域から歯周病が注目される時代の到来~」と題して、西田亙(糖尿病内科)先生からの講演でした。口腔内の微小炎症が全身の健康に影響していることを様々な論文を紐解いてわかりやすいものでした。歯周病と糖尿病との関係や歯周病と認知症との関係など、歯周病による「不健口」がもたらす全身疾患に関する最新知見と令和の歯周病学に期待されるものを医療費の視点から紹介されました。
西田先生のお話では、平成28年には65歳以上の高齢者は医療費全体の6割(26兆円)を消費しており、日本人の生涯医療費は平均で2700万円にも達しているという。さらに、医療費だけでなく、介護費用もまた90歳前半で年間132万円、95歳以上では202万円が必要とのことです。これから40年間で子供と納税者が4000万人減少していく中で、後世に膨大な経済的負担を強いることになる可能性があるようです。
人々が生涯健康であることが、それらの負担を減らすことにつながります。私たちも患者様の生涯の健康に貢献できるように多くを学び、医療に従事したいです。
山口歯科医院所属