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報告書日本歯周病学会 第5回近畿地区臨床研修会 報告書

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日本歯周病学会 第5回近畿地区臨床研修会

報告書(2020年2月2日 開催)

今回、リグロスの臨床例が数多く紹介されていました。リグロスの薬理作用として最も顕著に効果が見られるのは血管新生促進力で、FOP後の軟組織の吸収が従来の手法よりも格段に少ないということでした。矯正によるリセッションやPAOOで結合組織移植を同時に行う場合も、骨補填材と共にリグロスを応用すると、結合組織に厚みが出て長期に渡り良好な歯肉ラインが維持されていました。FOPのポイントとしては、切開線の選択、確実な肉芽除去とデブライドメンド、リグロスを補填してから迅速に縫合すること(すぐに閉じれる状態にしてからリグロスを入れる)、元の歯肉ラインにきっちり縫合するといったことが述べられていました。また、衛生士への注意事項として、再生療法を行った部位に対してはプロービング圧をかけず、サイドにスライドさせるようなストロークで縁下プラークをきちんと除去するよう心がけて下さいとのことでした。

また、歯間部の骨欠損に対してはリグロス単体で応用できることが多いが、口蓋側・舌側の場合は歯肉の圧力がかかるため骨補填材を併用する、頬側に関しては頬側方向からの圧力に加え粘膜の可動の力も加わるため、骨補填材とメンブレンも併用すると予後が良いとの報告でした。また、リグロスの血管再生促進作用により、術後は腫れやすい事、ただしそれは治癒にとって必要な経過であることも説明してくださいとのことでした。良好な予後を維持するためには、プラークコントロール、咬合等のリスク管理を徹底することは言う間でもありません。

午後からのシンポジウムでは、2018年6月にアメリカ歯周病学会(AAP)・ヨーロッパ歯周病連盟(EFP)より公表された 歯周病の新分類に対しての説明などがありました。具体的には歯周病の状態分類をステージとグレードに分けることになり、「広汎型 慢性歯周炎 ステージIII グレードB」「限局型 侵襲性歯周炎 ステージIV グレードC」というように表記することになっています。分類表は日本歯周病学会HPにて公開されていますのでみなさんご確認ください。

また、侵襲性歯周炎について臨床の現場から・大学の研究からと視点を変えてお話がありました。遺伝子レベルでの研究が進んでいて、1つの遺伝子変異までは辿りつけたがまだまだデータが足りず全国の大学病院でデータ集積をされているとのこと。また、日本歯周病学会で侵襲性歯周炎のチェックリストを作成しているので、疑わしい症例に活用くださいとのことでした。

短い時間の研修会ながら、200名を超える参加者で、衛生士は40名あまりの参加ということでした。難しい内容もありましたが、中身の濃い講演でした。新分類に関してはきちんと見直し、熟知しておかなければと思います。

医療法人明貴会
山口歯科医院所属
歯科衛生士 北島 恵子
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